[死なせるか生きるままにしておくという古い権利に代わって、生きさせるか死の中へ廃棄するという権力が現われた、と言ってもよい。 死に伴う儀式が近年廃ってきたということに示される死の価値下落も、恐らくこのようにして説明されるだろう。死をうまくかわすためにする努力は、 我々の社会にとって死を耐え難いものとしている新しい上安に結ばれているというよりは、むしろ、権力の手続きがひたすら死から目を外そうとしてきたことにつながっている。 一つの世界からもう一つの世界へと移ることで、死とは、地上的主権にもう一つの、奇妙にもより強大な主権が取ってかわることだった。 死を取りまく豪奢は、政治的典礼に属していた。今や生に対して、その展開のすべての局面に対して、権力はその掌握を確立する。 死は権力の限界であり、権力の手には捉えられぬ時点である。死は人間存在の最も秘密な点、最も「私的な《点である。]